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海外での挑戦:タイで活躍するもんこんさんのキャリアから学ぶ

海外で働くことに興味はあるだろうか。今回は、タイで管理会計のプロフェッショナルとして活躍するもんこんさんにインタビューを行った。彼の経験から、海外で働くことの現実と、そこで求められるスキルについて探ってみたい。


タイでのキャリア形成と現状

もんこんさんは現在、東証プライムに上場している内資系企業のタイ支社にて、管理会計の業務に従事されている。同社は、PPS、ナイロン、PBTなどのエンジニアリングプラスチックをはじめ、さまざまな樹脂や樹脂成形品を自社開発しており、特に同社の樹脂は自動車部品・材料に不可欠な存在となっている。グローバルに事業を展開する企業であり、タイでは自動車部品産業が盛んである。タイの自動車産業は東南アジアの中でも中心的な地位を占めており、多くの日本企業が進出している。


「タイの自動車部品産業は、日本の技術と現地の労働力を組み合わせ、高品質な製品を生産しています。私の役割は、その生産活動を支える管理会計として、経営に有用な情報を提供することです」ともんこんさんは説明する。


彼はタイで複数の企業での勤務経験を持ち、さまざまな視点から業務を遂行できる点が強みだ。しかし、日本から派遣されるスタッフが少ないという現状があり、人材の補充がスムーズに行われず、業務遂行に困難を感じているという。「現地での業務は日本と異なる課題が多い。人材不足や文化の違いからくるコミュニケーションの難
しさなど、日々新たな挑戦があります」ともんこんさんは語る。


学生時代

「挫折はしていません。何かに挑戦するから挫折をする。自分なりにチャレンジはしていましたが、大きく落ち込むような経験はしていませんでした」ともんこんさん。

学生時代は、海外旅行すら行ったことがなかった。文学部教育学科に在籍し、教師を目指す人が多かった中で、もんこんさんは塾の講師や小学校でアルバイトをしていた。唯一海外との接点があったのが、居酒屋でのアルバイトだった。中国、香港、韓国、中東、東南アジアの人々と一緒に働いたことで、外国人と働くことへの抵抗がなくなっていった。

「その環境だったから、海外に興味がある学生も多く、後に影響している部分もあるかもしれません。今思えば、海外旅行への誘いも当時は断っていたんですよ。行けばよかったと今は思いますけどね」と振り返る。


新卒で入社した会社

2008年、新卒でユニクロに入社。しかし、「ユニクロ自体はすぐ辞めてしまいました。単純にきつかったんで」ともんこんさんは笑う。

「ただ、中国人の同僚がすごくて、彼に影響された部分はありましたね。社会人になると休暇があるじゃないですか。ユニクロ1年目の休暇のときに、知り合いから誘われて行ったのがタイでした。初めての海外旅行で、海外の面白さに魅了され、休みのたびに海外に遊びに行っていました。実家住みだったこともあり、給料も全部海外旅行に使っていました」

ユニクロを1年で辞めた後も、アパレル関係の会社で働いていた。「仕事の中で海外とのやり取りがあればいいとい気持ちは強くなっていたが、スキル的に海外に通じるものもなく、機会を探っていたが難しかった。取引先の商社マンから海外での話を聞いていて、うらやましいと思っていました。そんな中で、海外に行きたい欲が爆発して、海外に飛び出したのが2015年でした。30歳手前で決意した移住でした」


タイへの道のり

当時、セブ島での語学留学が流行りだしていた。「調べていく中で、その時タイも好きだったからタイも調べたら、ある程度英語も必要と知りました。でも英語が僕はしゃべれなかった。エージェントの方から、TOEIC750点くらいあればどこかしら引っかかるんじゃないかというアドバイスをもとに、セブ島への語学留学を決意しました」

その後、セブ島での短期語学留学を経て、その足でタイへ。「1か月の滞在を経て、ある企業から内定をいただきました。『海外で住んで働いてみたい、それを続けていきたい。その中で自分の力を生かしたい』という思いでした。リスクを恐れず新しい環境に挑戦したかった」ともんこんさんは振り返る。

現地の日本人エージェントを通じて就職活動を行い、多くの業界や職種から自分に合った職場を選ぶことができた。

タイでの就職活動は難しかったのか

「いや、これがめちゃめちゃイージーで(笑)。全然難しくなく、セブからの足でそのままタイに行き、1か月くらいで内定が決まりました。日本人を相手にしている転職エージェントがいっぱいあって、選び放題だったんですよ。タイって、『東洋のデトロイト』といわれることもあって、車関係の会社が非常に多い。なので、それに関連する製造業だったり、サービス、IT関係がほとんど。つまり、そこに付随する経験があると待遇が良くなる。僕はその意味では経験ゼロベースだったので、選択肢は比較的狭かったですが」


移住してからの”異文化”での苦難

特筆すべき行動力のあるもんこんさんであるが、タイという異文化においてのこれまでの苦難も伺った。「クビにされることもありました」と語るもんこんさん。

「例えば、日本で採用されている方が海外に赴任されている場合って、当然日本から会社都合で来ているので、会社が全部面倒を見てくれますよね。ただ、僕の場合は自分できちゃったから、非常に立場が弱いんですよね。会社の判断でビザを切られてしまうこともある。一番苦労したのは、タイの文化、言語が全然わからないが故のミスコミュニケーションでした。仕事はちゃんとやっているつもりで、日本人的な感覚では正しいと思われるはずの仕事ぶりでも、空回りしてしまった。全てにおいて、タイ人は『リズム感』が異なる。何かの進捗確認をタイ人にすると、『私に
プレッシャーかけないで』と言われてしまう。タイに移住した当初は特にそういう状況だったこともあり、職場を転々とせざるを得ない時期もありました」


タイでの生活と仕事には、文化やコミュニケーションの壁が存在した。特に、タイではスケジュールやプレッシャーの捉え方が日本とは異なる。「適度にやっているだけで良い」という考え方が強く、日本の感覚で物事を進めるとうまくいかないことが多かった。

その苦難をどう打開されたのか

「本当にぶつかっていって、たくさん失敗して何がダメだったのかが分からない中で、体験から学んでいくしかなかった。どう打開してきたのかと言えば、たくさん失敗をすることだと思いますね。人間対人間なので、答えはない。
一人一人違うし難しいけれども、こういう失敗する経験は、若い時からしていればもっと良かったと思いますね」

「初めは失敗も多かったが、それを通じて学び成長できました」ともんこんさんは語る。異文化理解と柔軟な対応が、海外で働く上で重要なスキルであることを実感したという。


直近のキャリアステップに関して

転職も何度も重ねてこられたもんこんさん。本望ではない「クビ宣告」されたことも数回あったとのことだが、最近はやりたいことをやれているという。

今はどういう仕事をされているのか。「前に働いていた会社は、日系の鉄筋を作っている会社でした。全体は60人くらいで、日本人は3人しかいなかった。そこで、日本人は基本的に全ての業務をこなしていましたが、『営業だけはやりたくない』という意思表示をしたことで、営業以外となると工場管理のすべて—調達、生産管理、原価管理、工場内に関する管理関係を一通りやっていました。

簿記2級の勉強をすると、工場会計が出てくるんですよね。その中で原価管理とかも出てきて。実は、前の会社でやっていたその管理会計の一部の経験が生きて、今の会社で管理会計として転職することができたんです。」

もんこんさんの”管理会計”という武器

現在の仕事内容は「管理会計」であり、企業の内部で経営に役立つ情報を提供する役割を担っている。もんこんさんはこの分野を「どの国でも重宝され、AIによって代替される可能性が低いスキル」と評価する。

「自動車部品産業では、多くのプロジェクトや製品ラインが同時進行しています。管理会計はそれらのコストや利益を正確に把握し、経営者の意思決定をサポートする重要な役割を果たします」ともんこんさんは説明する。

管理会計は、予算管理や原価計算、業績評価など多岐にわたる業務を含む。経営者の意思決定を支える重要な役割であり、数値データの分析力だけでなく、経営目標や戦略を理解する能力も求められる。


もんこんさんから学生へのメッセージ

もんこんさんは「挑戦を恐れず、自分の武器となるスキルを身につけてほしい」と学生たちにエールを送る。言語の習得も重要だが、それ以上に「一つの専門スキル」を持つことが、就職活動やキャリア形成において有利になると強調する。「大学の時は、僕は挑戦することをしない人間でした。時間のある大学生のうちに、いろんなことに取り組んでいくべきです。タイの場合は、今後就職が難しくなってくる。実は今後、タイから日系企業が撤退していく流れになっているんです。または、インドネシアやインドに移転していく。日系企業に関しては、タイではあんまり前向きな話は聞かない。

だけど、海外で働くということを考えると、管理会計ってどの国でも必要だし、AIにも代替されにくいと言われている。海外で働きたい人は、日本人じゃなくても戦える何かの武器(スキル)があるといい。僕はそういった理由で、管理会計がおすすめ。スキルという意味でのベーシックなものとしては、プログラミングや簿記がこれに該当するだろう。」

「何をするかはまだ明確ではないけれど、海外で働きたい」という学生も多いだろう。若いうちは家庭や大きな責任が少ないため、大きな挑戦がしやすい時期だ。もんこんさんのようにリスクを恐れず行動することで、新たな道が開けるかもしれない。


もんこんさんの今後の目標

「今働いている会社の今のポジションって、日本で就職していたら絶対にできなかったポジションでした。というのも、競争倍率も高いし、日本の場合はすごく優秀な人たちがポジションを取り合うので。ある意味で自分の能力に見合ってないというか(笑)すごくいい経験をさせてもらっているなと思います。だからこそ、もっと今の仕事で吸収できるだけ突き詰めたい。

ゆくゆくは、タイにある日系企業の他の会社の力にもなれるように、管理会計のサービスを提供できるようになりたいと思っています。タイでの生活とキャリアを継続しながら、日本とタイを結ぶ架け橋として両国に貢献したいです」ともんこんさんは語る。

特に、自動車部品産業を通じて、両国の技術交流や経済発展に寄与したいと考えられている。「タイから日系企業が撤退していて、正直あんまり明るいニュースはないんですね。だけど、僕はタイでの生活がすごく楽しいし、タイ人も大好きです。日系企業で働いている中で、海外に来て初めて日本に対するリスペクトする気持ちが起きてきています。今働いている会社はタイでも大きな日系企業の一つなので、タイ・日本両国に貢献できる立場で今後もやっていきたい」

「タイの一番好きなところは、自由でいられるところ。同調圧力とかがないし、経済は良いわけではないけど、皆前向きなんですよね。しかめっ面していると、『ストレス溜まっているの?』って話しかけてくれて、フルーツくれたりとかするんですよね。そうなってくると、生きているだけで幸せになってくるんです。」


最後に

海外で働くことは決して簡単な道ではない。しかし、異文化での経験や専門スキルの習得は、自分自身の大きな財産となる。タイの自動車部品産業で活躍するもんこんさんの経験から学び、ぜひ自分の可能性を広げてほしい。尚、以下もんこんさんのXアカウントを掲載させていただく。もんこんさんからは、「何か質問あれば直接受け取れるよう」にと温かいお言葉をいただいている。

もんこんさんのXアカウント

参考: タイの自動車部品産業について

※アユタヤ銀行が2024年9月26日発行した、Automotive業界に対するこちらのレポートより抜粋

タイは「東洋のデトロイト」とも呼ばれ、東南アジア最大の自動車生産国である。多くの日本の自動車メーカーや部品メーカーが生産拠点を置き、サプライチェーンが高度に発達している。タイの自動車部品産業は、タイ政府の積極的な産業政策と外国直接投資の誘致により、急速に成長した背景がある。もんこんさんが勤務される内資系の素材メーカーも例外ではなく、多くの日本企業がその一翼を担っており、日々高度な技術と品質管理が求められている。

筆者もバンコク(タイの首都)を訪れたことがあり、多くの日本企業の看板を目にしたことは記憶に新しい。この自動車部品産業はタイ経済の重要な柱であり、多くの雇用を生み出している。しかし一方で、近年では電気自動車(EV)の生産も注目されており、持続可能な産業への転換が進められている。そのため、タイの自動車部品産業で潤う企業は、EVの台頭による大きな変化とリスクに直面している。

タイの自動車部品産業とEVの台頭によるリスク

自動車生産の減少予測

タイの自動車生産は、2024年から2026年にかけて年間で2.5%から3.5%の減少が予測されている。
主な要因は、国内市場の低迷と輸入EVとの競争激化である。特に2024年は、高い生活費や家計債
務の増加により消費者の購買力が低下し、クレジット条件も厳しくなることで、国内販売が3.5%から
4.5%減少すると見込まれている。


内燃機関車(ICE)メーカーへの影響

内燃機関車を製造する企業は、以下の課題に直面している。
● 購買力の低下: 高い燃料費や厳しいローン審査により、消費者の購買力が減少している。
● エコカーの人気低下: エコカーの需要が減少し、新たな環境規制(ユーロ5、ユーロ6)の導入で生産コストが上昇している。
● 競争の激化: EVメーカーとの競争が激化し、価格競争や市場シェアの維持が困難になっている。

EVメーカーへの機会

一方、EVを製造する企業は成長が期待されている。その理由は以下の通りである。
● 政府の支援: EV普及を促進する政策や補助金が市場拡大を後押ししている。
● 技術の進歩: EVバッテリーのコスト低下や航続距離の向上で、消費者の受容性が高まっている。
● 環境意識の高まり: 持続可能な社会への関心が高まり、EV需要が増加している。

自動車部品産業が直面するリスク
● 需要の変化: EVは部品点数が少なく、従来のエンジン部品の需要が減少する。
● 競争環境の変化: 中国など海外からの競合企業との競争が激化する。
● 技術革新への対応: EV関連の新技術への投資や人材育成が必要となる。

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